岸 眞理子(1990)“組織の情報化戦略に向けてー分析基軸としての不確実性と多義性ー”,早稲田商学,No.336,pp.175-192
情報の不確実性と多義性
Daft and Lengelの不確実性(uncertainty)と多義性(equivocality)
- 情報の不確実性:情報の欠如;タスクを遂行するのに必要な情報量と既に組織が獲得している情報量との差(Galbraith)
- 情報の多義性:情報の曖昧性;対立する解釈の存在
コンティンジェンシー理論とinformation processing viewにおける情報の不確実性
コンティンジェンシー理論で取り扱う組織ー環境関係での環境とは,タスク環境を意味する(p.180表1:「不確実性」概念の操作化参照).コンティンジェンシー理論は「測定(measurement)」を志向した操作化を行っている. # ということは,つまり,環境は不確実であるとしても,その環境は正しく観測でき,測定できるというように考えていることに他ならない.
information processing viewは環境の不確実性を環境情報についての不確実性とし,情報との関係から展開する.組織の環境への適応行為は,組織が情報の不確実性に対処する行為として概念化する(情報の不確実性については上の定義を参照).
コンテクストと情報の多義性
- 著者のいうコンテクスト:個人の認知プロセスを通じて知覚形成されるもの
- 組織理論において,コンテクスト(著者の定義した意味ではない)概念はコンティンジェンシー理論によって導入された(適応組織構造がコンテクスト依存であるということか).
- information processing viewはタスク環境における複数のコンテクストを情報を媒介にして統合を図るアプローチである.
コンテクストが個人の認知プロセスを通じて知覚形成されるものであるという立場に立ってはじめて,「コンテクスト」を核として情報の多義性を議論することが可能になる.
ここでいうコンテクストとはSSMにおける価値観,あるいは世界観(Weltanshaung)とほぼ対応していると考えていい(著者自身p.189でSSMとの関連を指摘している).多義性を解消するということはコンテクストの共有化として検討することが主張されている.これらの指摘はSituatedness概念,および組織学習概念と整合・一貫する.
俺メモ
- メディアリッチネス理論(Daft and Lengel)のフレームワークはぼくにとってとても都合がよい.
- Situatednessとメディアリッチネス,コンティンジェンシー理論の考え方がすーっと入ってきたので,すこしまとめてみる
- Scottは教養のようなきがするので読んでみよう